時計のお話 −時計全般−

僕自身のオーバーホール時期の判断方法

オーバーホールの時期について、当店の場合は大体5年程度とお話ししています。
また、メーカー/他のお店/時計雑誌それぞれ意見があるようです。

では、僕自身の時計はどうしているのか? そんなお話しをさせて頂きます。

「染物屋の白袴」そんな感じで、私自身の時計もほとんどオーバーホールを行わず、調子が悪くなるまで使ってしまいます。 その「調子が悪い」の基準はこんな感じです。

1.一日使用して、次の日の朝に止まってしまった場合
 自動巻きの巻き上げ効率が落ちている証拠

2.精度が一日20−30秒位の遅れが生じてきた場合
 油の劣化により負荷が掛かっている証拠

ゼンマイ式の時計の場合には油が劣化した状態でもある程度は動いてくれてしまいます。
しかし、油が劣化した状態で無理して動かし続ければパーツに負荷がかかりますので、オーバーホールと同時に歯車の交換やローター芯の交換が必要になります。

またオーバーホールを行う際の外装掃除によって、竜頭のネジ込みが行いやすくなったりしますので竜頭や受けの破損も回避できます。 ですから5年程度経過すればオーバーホールを行うメリットはあると思いますし、オーバーホールをお薦め致します。

ちなみに、もっとこまめにオーバーホールを行えば良いかというと、時計の針は芯に押し込んではめてあるだけの構造ですので、出来ればあまり抜き差しする機会を増やしたくないという考えもあったりします。 (なによりあまり頻繁に行うとよそ様のものとは言えど、お財布の中が心配で…。)

僕って、ケチな小商人なのかもしれません。

電波時計のデメリット

皆様、電波時計、お持ちですか?

現在は掛け時計置時計も多くのモデルが電波時計になり、腕時計についてもムーブメントも小型,薄型のものが製造可能になり、かなり浸透してきました。

しかし、電波時計にもデメリットがあります。
それは、電池の問題。

電波時計は大体一日に2回電波を受信しようとしますので、通常のクオーツの精度で動くだけのものよりも電池の消費は激しくなります。

ですから腕時計も掛け時計も置時計も電池のモデルでは現在でも電池寿命1-2年のものが多く意外と面倒だったりもします。

そこで腕時計の場合は電池の問題を考慮する為、CITIZENもSEIKOも電波時計にはソーラーや自動巻き機能を付けて、常時充電できるようなモデルを中心とするようになって来ました。
(一部掛け時計置時計でもソーラーモデルがあります。)

ですから、現時点では電波時計を買う時には電池寿命又は充電機能が付いているか、ご確認頂けると宜しいかと思います。

※ 別項「ソーラー電波時計は万能か?」をご覧下さい。

クオーツ式時計のオーバーホールは必要か?

電池式時計をお持込のお客様からのご相談で「オーバーホールした方が良いですか?」というのがたびたびあります。

「電池交換を行って電池寿命よりあまりにも早く止まってしまうようであればその時にオーバーホールを行えば良いと思いますよ。」とお答えしております。

クオーツ時計の動力である「電池」はそれほど大きな力を発揮してくれません。
ゼンマイの場合は油が劣化してもゼンマイの力強さで動き続けてしまいますが、電池式時計の場合はそこまでのパワーがありませんので、歯車を傷めるよりも先に止まってしまうことの方が多いのです。

また、歯車の破損よりも、電池漏れ入水の方が怖いので、それは要注意してあげてください。

ちなみにこの「止まる」という症状も厄介で、大体のお客様は「時計が遅れる」ということでお持込になられます。それは基盤の破損よりも「たまに止まっている」ことの方が多く、止まっている瞬間を見ていないケースが多いのです。

ですから、クオーツ時計は調子が悪ければまずは電池交換、それでも調子が悪ければオーバーホールで宜しいのではないでしょうか?

ゼンマイうまく巻けますか?

お母さんの使っていた手巻きの時計をオーバーホールして使いたい。
実家で止まっていた掛け時計を直したい。

そういった嬉しくなってしまうご依頼が多々あります。

しかし、腕時計の場合これまで手巻きの時計をご使用されていなかった方には、少し手巻きの練習をして頂きます。 手巻きの時計(特に日巻きの時計)は動き出すまではなく、ゼンマイがロックするまで、きちんと巻かないと精度がでません。 強く巻きすぎれば切れてしまいますが、ゆっくり感触を確かめながら最後まで巻いてあげてください。

また、掛け時計/置時計の場合には、完全に巻き上げて、ある程度緩んでから巻き上げ直してあげてください。 日巻きでない時計の場合には毎日巻き上げるのはゼンマイの性質上あまり宜しいことではありません。